一般財団法人 糧食研究会
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平成24年度 特定委託研究 成果報告会を開催
2012年7月26日、港区の品川プリンスホテル・メインタワーにて一般財団法人糧食研究会主催の成果報告会が開催されました。
一般財団法人への移行後、初めての報告会となった今回は、平成23年に実施された特定委託研究3件の成果報告が行われ、各発表後には来場者との活発な質疑応答がなされました。

また、研究成果の報告に加え、特別講演として東京大学高齢社会総合研究機構特任教授 秋山弘子先生をお招きし、「長寿社会の課題と可能性」についてお話いただきました。高齢者の心身の健康や経済、人間関係、加齢にともなう変化等を長年にわたり全国高齢者調査で追跡研究するなど、ジェロントロジー(老年学、加齢学)分野の第一人者としてご活躍されている秋山先生のお話は、ときにユーモアを交え会場を和やかな雰囲気に包みながらも、高齢化社会に生きる私たちにとって切実な問題が提起され、来場者からの高い関心が寄せられました。

[特別講演]
秋山 弘子 氏 長寿社会の課題と可能性
東京大学 高齢社会総合研究機構 秋山 弘子 氏

秋山氏が所属する東京大学高齢社会総合研究機構は、「超高齢社会」へ向かう日本が抱える多様で複雑な問題を解決するために、医学、看護学、理学、経済学、社会学など広範囲にわたる学問分野を包括するジェロントロジー(老年学、加齢学)を推進し、現在、東大10学部から80名近い教員が参加して、学問分野を横断的に連動させたさまざまなプロジェクトを遂行しています。
いまや人生90年ともいわれるほど世界最長寿国となった日本ですが、秋山氏によると長寿社会には大きく2つの課題があるといいます。ひとつは、長くなった人生を自分自身の判断にもとづいてどう設計していくかという「個人」の課題。もうひとつは、住宅や交通機関、医療、雇用制度などのシステムやインフラをどう対応させていくかという「社会」の課題で、その解決にはこれまで手付かずだった高齢者の認知能力や身体能力などの科学的なデータの収集・蓄積が必要だと述べられました。
ジェロントロジーにおいても、かつての寿命延長を追及する研究から、長生きしても寝たきりになったり、定年後の人生をもてあます人が増えることなど新たな課題への対策が必要となり、高齢期における生活の「質」(クオリティ・オブ・ライフ)をいかに向上させるかという研究が進められています。秋山氏はそうしたなかで、高齢期でも人間の能力は多次元かつ多方向であることに注目すべきだといいます。これまで加齢により能力は衰えていく一方と考えられていましたが、言語能力や日常の問題解決能力など年齢を重ね豊かな経験を活かすことで、若いころよりも伸びる能力もあることがわかっております。また、高齢者の歩行スピードを継続調査したデータでは過去の結果より格段に速くなっていることから、65歳以上を高齢者とする概念に、もはや根拠はないとしています。
そうした高齢者のもつ可能性を社会に活かすためのプロジェクトとして、現在、千葉県柏市、UR都市機構との協働で長寿社会対応の街づくりが進んでいます。都心に近い典型的なベッドタウンである柏市をモデルケースに、深刻化する都市部での高齢化に備えた仕組みづくりを考えるにあたって、とくに重要なのが高齢者が介助・介護を受けずに自立した状態で長生きすることだといいます。それには、まずバリアフリーの集団住宅やライフステージに合わせて住み替えられる循環型住宅、地域医療やリタイア後の就労・教育システムの整備、高齢者と幅広い世代が交流できるコミュニティー施設などの人とのつながりを維持する仕組みがあり、その上でケアサービスやグループホーム、在宅医療施設など体が弱ったときにも安心して快適に暮らせる環境を用意するなど、段階に応じた対応が必要であるといいます。
秋山氏は最後に、「長寿は決してネガティブなものではなく、大昔から私たちが望んできたこと。だからこそ長寿、健康、経済をうまく結びつけた豊かな社会を作ることが課題」として、複雑な長寿社会に対応していくには、企業側にもこれまでにない新しいサービスや業態が求められていることを示唆しました。


研究成果報告会の演題は次のとおりです。
[平成23年度 特定委託研究]
伏木 亨 氏 高齢者にとってのおいしさを評価するためのProfile of Palate Element法の確立と乳製品のおいしさ評価への応用
京都大学 大学院農学研究科 伏木 亨 氏
大澤 俊彦 氏 プロバイオティクス中への発酵大豆イソフラボン類添加による機能性増強効果
愛知学院大学 心身科学部 大澤 俊彦 氏
大日向 耕作 氏 神経系に作用する乳成分に関する研究
京都大学 大学院農学研究科 大日向 耕作 氏
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