一般財団法人 糧食研究会
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平成24年度 一般公募研究 成果報告会を開催
2012年11月28日、港区の品川プリンスホテル・メインタワーにて一般財団法人糧食研究会主催の成果報告会が開催されました。
今回は、平成23年に実施された一般公募研究8件の研究成果が報告され、活発な質疑応答がなされました。なお、平成23年度の一般公募研究は44件の応募があり選考委員会で8件が採択されています。

また、研究成果の報告に加え、九州大学大学院医学研究院教授 須藤信行先生に、「腸内フローラとストレス」と題する特別講演をお願いしました。講演の概略は以下の通りです。

 
[特別講演]
須藤 信行 氏 腸内フローラとストレス
九州大学大学院医学研究院教授 須藤 信行 氏

今回の特別講演では、心身医学、精神神経免疫学、腸内細菌学などを専門とし、心療内科の臨床医でもあるお立場から、ご自身の研究データなど豊富な具体例を交えて、腸内細菌研究の動向について述べられました。
過去の研究から、大腸菌などの細菌群は、ストレス時に分泌されるカテコラミン(ノルアドレナリン)により増殖反応や病原性の増強を起こすことが分かっています。近年、細菌間の情報伝達に使われるAI-3(オートインデューサー・スリー)分子のレセプター(QseC)が宿主由来のカテコラミンにも反応し、病原性大腸菌の増殖、病原反応の増強を促進させることが分かりました。逆に細菌由来のAI-3が宿主に作用する可能性も考えられ、「インター・キングダム・シグナリング(Inter kingdom signaling)」と呼ばれる、細菌と宿主の界(キングダム)をまたぐ情報交換の概念が注目されています。
これにより長年の課題であったストレスで病原菌が増えるメカニズムが解明できるのではないかとして、須藤先生は無菌マウスとの比較実験で、SPFマウスの消化管、管腔内のカテコラミンの存在を明らかにしました。さらに、生体のストレス応答経路のひとつである、視床下部・下垂体・副腎軸(HPA軸)の反応を調べ、腸内フローラの違いでストレス応答が異なることや、幼少期の腸内フローラが成長後も重要である可能性を示唆されました。
現在、宿主の脳機能に影響を与える物質の同定や、腸内フローラが行動や認知、情動などに与える影響の研究を進めており、無菌マウスの不安行動がある種の細菌を移入することで減弱することが分かってきたと述べられました。
最後に、須藤先生は、腸内細菌、常在菌の働きは脳機能だけに留まらず生物の進化にまで関わってきた可能性があり、今後も重大な研究領域になることを期待したいと締めくくりました。


研究成果報告会の演題は次の通りです。
[平成23年度一般公募研究]
伊東 宏晃 氏 スフィンゴミエリンの摂取が消化管に与える影響
京都大学 大学院農学研究科 菅原 達也 氏
下村 吉治 氏 筋肉の代謝調節における分岐鎖アミノ酸の役割
名古屋大学 大学院生命農学研究科 下村 吉治 氏
丹治 保典 氏 抗生物質に頼らない清浄牛乳の生産に向けた試み
東京工業大学 大学院生命理工学研究科 丹治 保典 氏
古川 壮一 氏 大腸菌と乳酸菌の共凝集機構解明
日本大学 生物資源科学部 古川 壮一 氏
水野谷 航 氏 牛乳由来生理活性ペプチドによる筋細胞分化促進機構に関する研究
九州大学 大学院農学研究院 水野谷 航 氏
宇田川 潤 氏 精神神経疾患の誘因となる胎生期および新生児期の低栄養による脳組織内調和的発生の乱れと形態機能異常の定量的解析
滋賀医科大学 宇田川 潤 氏
山下 智也 氏 食品成分による腸管免疫調節機構の解明と新規動脈硬化予防効果の検討
神戸大学 大学院医学研究科 山下 智也 氏
福岡 秀興 氏 妊娠中のone carbon metabolism 関連栄養素及び関連酵素遺伝子多型に関する研究
早稲田大学総合研究機構 研究院 福岡 秀興 氏
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