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乳タンパク質及び酵素に関する物理化学的・生化学的研究 これらの研究は乳タンパク質、特にカゼイン及びカゼインミセルの物理化学的性格、構造変化、苦みペプタイドの生成などに関する基礎的知見のみならず、チーズ、発酵乳等の製造技術に応用可能な知見を生み出し、我が国の乳製品の品質向上に多大の貢献をしました。 |
2. |
乳タンパク質のエピトープの特性とその低アレルギー食品への応用に関する研究及び乳アレルゲンとの相互作用から得られた腸管細胞の応答に関する研究 前者の研究により、食品業界は食品アレルギーに対して関心を持つようになり、そのことが消費者の安全を目的とした厳しいアレルギー注意表示義務、原材料の内容チェックや製造工程におけるラインの洗浄のレベルアップにつながりました。 また後者の研究は研究者を刺激し、腸管免疫に対し多くの成果を生み出すきっかけとなりました。 |
3. |
プロバイオティクス及びプレバイオティクスに関する研究 乳酸菌が整腸効果のみならず生体の免疫バランスを整え、アレルギー発症を抑制したり、生体防御に重要であることを明らかにし、そのメカニズムの解明にも大きな成果をもたらしました。この研究を通じて日本では多くの生理機能を訴求する発酵乳、乳酸菌飲料が開発され、活性の高い市場を形成することとなりました。さらにプレバイオティクスを投与することでアレルギー発症の要因とされているIgEの産生が抑制されることを明らかにされました。 |
4. |
腸管免疫に関する基礎的研究 この研究を通して乳タンパク質等の食品と乳酸菌の経口摂取による腸管細胞におけるサイトカイン産生のメカニズムや、食物と腸管細胞のレセプターとの相互作用についての解明がなされました。高齢化社会において加齢に伴う免疫機能低下の抑制は重要な課題ですが、これらの研究は乳がその役割の一端を担う可能性を示唆するものです。 |