一般財団法人 糧食研究会
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平成27年度 一般公募研究 成果報告会を開催
2015年11月16日、港区の品川プリンスホテル・メインタワーにて一般財団法人糧食研究会主催の成果報告会が開催されました。
今回は、平成26年に実施された一般公募研究8件の研究成果が報告され、活発な質疑応答がなされました。なお、平成26年度の一般公募研究は42件の応募があり選考委員会で8件が採択されています。

また、研究成果の報告に加え、理化学研究所 統合生命医科学研究センター グループディレクター 大野 博司 氏に、「腸内細菌と生体防御・免疫系の関わり」と題する特別講演をお願いしました。講演の概略は以下のとおりです。

 
[特別講演]
大野 博司 氏 腸内細菌と生体防御・免疫系の関わり
理化学研究所 統合生命医科学研究センター 大野 博司 氏

われわれの腸内には膨大な数の共生細菌群が棲息している。この腸内細菌叢は500〜1,000菌種からなるとされ、その数は100兆個以上と、約40兆個とされるヒトの体細胞数の数倍にも達する。さらにその遺伝子数は一人の腸内に数十万と、ヒト自身の遺伝子数2万強をはるかに凌駕している。この多種多様な菌同士が相互作用し、肝臓に勝るとも劣らない代謝系を形成するとともに、宿主との相互作用により、「腸エコシステム」と呼ばれるユニークな環境系を構築している。このような観点からノーベル賞学者Lederberg博士は、「われわれの体はわれわれ自身の真核細胞と微生物の融合体として機能する“超生命体(superorganism)”と考えるべきである。」と提唱した。すなわち、ヒトの生理・病理を真に理解するためには、超生命体の本質とも言える腸エコシステムの理解が不可欠である。しかし、膨大な数の細菌群と宿主が複雑に相互作用する腸エコシステムを個体レベルで解析する良い手法はなかった。そこで演者らは、ゲノム(DNAレベル)、トランスクリプトーム(RNAレベル)、メタボローム(代謝産物レベル)など異なるレベルの網羅的解析法を組み合わせた統合オミクス手法を提唱し、その有用性を示してきた。
本講演では、統合オミクス統合解析法の応用により得られた成果として、1)ビフィズス菌が産生する酢酸による大腸上皮細胞保護作用に基づくマウスのO157感染死予防のメカニズム、ならびに、2)腸内細菌叢が産生する酪酸による、エピゲノム制御を介した大腸制御性T細胞の分化誘導メカニズム、について概説していただきました。「これらの結果は、統合オミクス手法が腸エコシステムに適した手法であることを示しており、網羅的解析手法の今後のさらなる進歩・改良に伴い、無侵襲あるいは軽度の侵襲で採取できる唾液、尿、糞便、血液などのサンプルを対象としたヒト統合オミクス解析手法が確立されれば、疾患発症マーカーとして特定の菌群やその代謝物が同定され、それらを対象とした発症予防法や治療法の開発に結びつく可能性も秘めている。」と述べられました。


研究成果報告会の演題は次の通りです。
[平成26年度一般公募研究]
河合 慶親 氏 オートファジー促進を介して腸管内恒常性維持に貢献するポリフェノール類の探索
徳島大学大学院 医歯藥学研究部 河合 慶親 氏
後藤 孔郎 氏 メタボリックシンドロームおよび認知症に対するヨーグルト摂取の有用性
大分大学 医学部 後藤 孔郎 氏
小林 正紀 氏 記憶の維持・改善を指向した食品成分によるエネルギー源輸送の阻害・促進メカニズムの解明
北海道大学大学院 薬学研究院 小林 正紀 氏
森 浩子 氏 「脳と食」ケトン産生食による脳内摂食中枢への作用
京都府立医科大学大学院 医学研究科 森 浩子 氏
森本 達也 氏 柑橘類果皮成分の心不全治療に関する研究
静岡県立大学 薬学部 森本 達也 氏
守屋 孝洋 氏 牛乳乳製品摂取による朝寝坊予防効果の機序解明
東北大学大学院 薬学研究科 守屋 孝洋 氏
荒木 良太 氏 幼少期の精神機能発達過程における葉酸の役割に関する研究
発表者 摂南大学 薬学部 荒木 良太 氏
(代表研究者 摂南大学 薬学部 矢部 武士 氏)
好田 正 氏 抗炎症作用をもつ食品因子による生活習慣病の予防
東京農工大学大学院 農学研究院 好田 正 氏
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